こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
今日は「こどものガミースマイル」についてお話します。
ガミースマイル大人編の続きですね。
おさらいですが、「ガミースマイル」の原因は2つあります。
➀上唇を引き上げる筋肉が強い
➁上顎骨の発達が過剰
です。
大人編と同様に①+②の両方の原因のガミースマイルもあります。
「ガミースマイル」の治療は、子供であっても難度が高いとされていますが、大人と比べ改善する可能性は高くなります
理由は、子供は成長途中ですので骨・粘膜・筋肉などの発育をある程度コントロールできるためです。
精密検査により、「ガミースマイル」の原因が何によるものなのか?(骨格に問題があるのか?口腔周囲筋に問題があるのか?)どのぐらいの程度か?と把握し、治療を行います。
▶治療法①MFT
不正咬合の成り立ちをおさらいしましょう。
遺伝的要因(歯、骨格)と環境(後天的な要因)により不正咬合は成り立ちます。
成長期(子供の時期)の環境は種々の発育に大きな影響を及ぼすため、それを適正な状態に導くMFT(口腔筋機能療法)はガミースマイルケースにおいても重要だといえるのです。
ガミースマイルにおいては主に原因①に効果的ですが、上顎骨の成長期であれば原因②にも一定の効果はあります。
もちろん、精密検査後必要かどうかを判断しますが、多くの場合治療に組み込まれます。
▶治療法②トレーナー
トレーナー(Multi Family、T4K、EF line)とは筋機能矯正装置のひとつですが、本院では比較的MFTのための補助的な装置として用いることが多いです。
トレーナーの詳細は本院HPの関連ページに譲りますが、MFTと併用することにより大きな効果を得ることができます。
▶治療法➂ヘッドギア
ヘッドギアとは主に小児期に用いる矯正装置で、上顎骨の過成長(特に前方成長)を抑制する目的で使用します。
昔からある装置ですが、現在でも現役の装置です。
ガミースマイルにおいては原因②に対し作用します。
作用方向は主に上顎骨の水平成分に対してです。(赤矢印の方向です。)
垂直成分にはあまり影響を及ぼすことができません。
ヘッドギアにもいくつかの種類がありますが、その1例をご覧ください。
▶まとめ
成長発育を利用する治療は子供の時期(小学生)にのみ効果的です。
上顎骨の成長余力がなくなってしまえば、全く効果を期待できません。
特に、ガミースマイルは不正咬合の治療と違い、目標への達成確実性が低いタイプの治療とされています。
骨格性要因が強すぎる場合(上顎骨の垂直成分)、大人になってからの骨切り手術が必要となる可能性は高くなります。
本院は都心という立地上、成人のガミースマイルに関するご相談が多い傾向にあります。
本来は、もっと早い段階(子供の時期)からの介入が望ましいといえるでしょう。
⇒関連ブログ 「大人の出っ歯(上顎前突)」
⇒関連ブログ 「子供の出っ歯(上顎前突)」