過蓋咬合(咬み合わせが深い)とは!


こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。

 

本日は「過蓋咬合」のお話をいたします。

 

「過蓋咬合」とは俗にいう「咬み合わせが深い」状態のことを指します。

 

難しく言うと「上下顎前歯の垂直的な被蓋(overbite)が正常範囲より深い咬合関係」、簡単にいうと「上の前歯が被さりすぎて下の前歯が見えない咬み合わせ」です。

 

ピンとこない方はこちらの写真をご覧ください。

(症例2-1) 過蓋咬合1

 

過蓋咬合は不正咬合の代表的な症例の一つです。

 

それでは、過蓋咬合の何がいけないのかをみていきましょう。

 

 

 

▶過蓋咬合のデメリット3つ

①下顎の運動が制限される → 顎関節症になりやすい

本来下顎は前方、側方、後方、など3次元での自由な運動をします。

過蓋咬合は上の前歯が下の前歯に覆いかぶさっている状態です。

そのため、下顎の前方への運動が大きく制限されることとなります。

前方への運動が制限されるどころか、後方部への圧迫力がかかることさえあります。

これが顎関節への負担となり、顎関節症を誘発するきっかけとなることがあるのです。

もちろん、すべての症例でそうなるわけではありませんが、顎関節への負担となっているのは紛れもない事実です。

顎関節2

 

 

②下の歯が上の前歯後方の歯茎を噛み込む

これは本人の自覚があることが多い項目です。

ご察しの通り、良いことではありません。

一般的に、年々臼歯は少しずつ削れてきます。(咬耗・磨耗)

奥歯が咬耗・磨耗すると、下の歯の上顎前歯後方への噛み込みはより悪化します。

下の歯が歯茎ではなく、上の歯に接触している場合はその歯を突き上げることになります。

これは、上顎前歯の外側への傾斜を誘発します。(出っ歯が悪化する。)

 

 

➂被せ物、ブリッジ、入れ歯などが壊れやすい

過蓋咬合は上下の歯の咬み合わせが良くないため、歯に適正でないベクトルの力がかかりやすい傾向にあります。

そのため、補綴物(被せ物、ブリッジ、入れ歯など)が壊れやすいのが実情です。

 

 

 

過蓋咬合の原因は様々あります。

 

そのため、年齢(歯の生え変わりの段階)と原因、そして患者様の協力度を加味し、治療方針を決定することになります。

 

それでは、症例をいくつか見ていきましょう。

 

 

 

▶症例①Multi-Family(トレーナー装置)を使用

Multi-Family2

混合歯列期(子供の歯と大人の歯が混在している時期)から治療を始めた症例をご紹介します。(下の写真参照)

 

過蓋咬合、下顎前歯の叢生(歯のでこぼこ)が認められました。

 

これは、上下顎前歯が過萌出していること、上下顎前歯が舌側傾斜(内側に倒れている)していること、口腔周囲筋の不調和が原因と診断し、次のような方針で治療を進めました。

 

Multi-Family(トレーナー装置)

MFT(口腔筋機能療法)

 

お子様の場合、歯の反応がよいため本人が一旦やる気になれば比較的早く治ります。

 

大人になってからの過蓋咬合は治療が難しいため、小児期の介入が望ましいといえるでしょう。

 

ここで注意したい重要事項があります。

 

Multi-Familyは主に日中1~2時間と就寝時使用する矯正装置です。

 

本人が使用しないと全く効果は得られません。

 

また、MFT(口腔筋機能療法)もトレーニングという特性上、自宅で練習していただかないと全く効果が得られません。

 

そのため、本人の治療したいという気持ちが重要です。

 

もともと治療に前向きでないお子様であったとしても、過蓋咬合治療の必要性を説明すれば十分理解は得られます。

 

お子様本人が「なぜ矯正治療が必要なのか?」という本質的な問題に向き合うことは大切だということです。

 

(治療前)

(症例1-1) 過蓋咬合1 (症例1-1) 過蓋咬合2 (症例1-1) 過蓋咬合3

(症例1-1) 過蓋咬合4 (症例1-1) 過蓋咬合5

(10か月後)

(症例1-2) 過蓋咬合1 (症例1-2) 過蓋咬合2 (症例1-2) 過蓋咬合3

(症例1-2) 過蓋咬合4 (症例1-2) 過蓋咬合5

 

10か月経過後、過蓋咬合の改善・口腔周囲筋の適正化が達成されたため、経過観察に入りました。

 

経過観察中は4か月~6か月に一度のチェックとなります。

 

永久歯列が完成するのを待ち、仕上げの治療(Ⅱ期治療)へと移ります。

 

小児期に過蓋咬合を改善しておけば、仕上げの治療は簡易なものとなります。

 

 

 

▶症例②マルチブラケット装置(表側矯正)

本症例は混合歯列後期から矯正治療を始めました。

 

中学2年生にもかかわらず、まだ乳歯が残っていました。(乳歯晩期残存)

 

通常、乳歯は矯正治療上必要性が生じなければ自然脱落を待ちます。

 

しかし、あまりにも自然脱落が遅すぎる場合、乳歯の整理を行うこととなります。

 

(治療前)

(症例2-1) 過蓋咬合1

(症例2-1) 過蓋咬合2(症例2-1) 過蓋咬合3

(治療後)

(症例2-2) 過蓋咬合1

(症例2-2) 過蓋咬合2 (症例2-2) 過蓋咬合3

 

舌側傾斜しすぎている上下顎前歯の歯軸を平均になるように、ワイヤー矯正にて移動させました。

 

骨格性の要因がほとんどなかったため、比較的容易に治療を完了することができました。

 

この治療経過が良く分かる動画をご覧ください。サルのクリック

▶症例➂裏側矯正(舌側矯正、リンガル)

本症例は永久歯列期から矯正治療を始めました。

 

典型的な大人の過蓋咬合症例です。

 

矯正医が最も大切とする第一大臼歯の関係は、左側がAngle full classⅡであったため、上顎両側第一小臼歯抜歯(真ん中から4番目の歯)を抜歯し矯正治療を行いました。

 

(治療前)

(症例3-1) 過蓋咬合(症例3-1) 過蓋咬合4

(症例3-1) 過蓋咬合2(症例3-1) 過蓋咬合3

(治療中)

(症例3-2) 過蓋咬合1(症例3-2) 過蓋咬合4

(症例3-2) 過蓋咬合2(症例3-2) 過蓋咬合3

(治療後)

(症例3-2) 過蓋咬合1(症例3-3) 過蓋咬合4

(症例3-2) 過蓋咬合2 (症例3-2) 過蓋咬合3

 

 

治療のゴールに到達しますが、子供の時期より大人の方が過蓋咬合症例は難易度が高くなります。

 

本症例は過蓋咬合かつ抜歯矯正という診断が必要でした。

 

抜歯矯正は咬み合わせがより深くなる傾向にあるため、過蓋咬合症例ではできれば避けたい治療方針です。

 

 

 

▶まとめ

成人の過蓋咬合症例は難症例とされています。

 

今回のブログではご紹介しませんでしたが、インプラント矯正が必要となる症例も多くあります。

 

症例の長期安定性・治療の負担軽減という観点から、小児期からの介入が可能であれば、出来るだけその時期から治療を開始されることが望ましいといえるでしょう。

 

 

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