歯を移動させるのに必要な力はどのくらい?


こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。

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みなさん、「歯が移動する」って不思議なことだと思いませんか?

 

「歯を移動させるのに必要な力ってどれぐらい」だと思いますか?

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実は非常に弱い力なのです。

 

力が強い方が良いわけではありません。

 

正確にいうと、弱すぎても強すぎても良くないのです。

 

最適な矯正力があるといわれています。

 

 

 

▶数十グラム単位の力です。

矯正界の権威「Proffit」は、自身の著書『プロフィトの現代歯科矯正学』の中で以下のように述べています。(世界中の矯正医が所蔵するバイブルです。)

 

1歯移動させる最適な力の強さ

傾斜移動              50~75g

歯体移動              100~150g

直立                     75~125g

回転                     50~75g

挺出                     50~75g

圧下                     15~25g

 

 

あくまで一つの目安です。

 

これに加えて最適矯正力は歯根表面積の大きさと正の相関を持ちます。

 

つまり、歯根表面積の小さな前歯と大きな臼歯を比べると、臼歯の方が最適矯正力は大きいということになります。kira01.gif

 

我々矯正医は、移動させる歯種・移動様式・フォースシステムを考慮に入れ、診療時に力の加減を行うということです。

 

*力が強ければよいわけではありません。

*ヘッドギア、上顎前方牽引装置、チンキャップ、カリエールなどはもっと大きな力です。kaeru02.gif

 

 

 

▶ワイヤー、ゴム、バネ

歯を移動させるのに使用する材料は大別するとワイヤー、ゴム、バネです。kao06.gif

 

ワイヤー

矯正治療で使用するワイヤーの材質には様々なものがあります。

 

しかし、主に使用するのは2つ。

 

形状記憶合金である「ニッケルチタン系ワイヤー」と高い剛性を持つ「ステンレススチールワイヤー」です。

 

形状記憶合金は一定に力を発揮できるという利点があり、基本的に弱い力(ライトフォース)を持続的に加えることができます。

 

ステンレススチールワイヤーは残念ながら剛性が高く、調整を加えることによりやや強めの力が加わります。

 

しかし、抜歯症例や歯列全体移動などには欠かすことができません。

 

矯正治療ではこの2つのワイヤーの性質を利用し、咬合の再構築を行うのです。

 

 

ゴム

ゴムも矯正治療では欠かせません。

 

一般的に「パワーチェーン」と呼ばれています。

 

パワーチェーンにも様々なレパートリーがあり、歯の移動に必要な力を勘案し、その選択を行うことになります。

 

本院で使用しているのは主に下記のパワーチェーンです。

「パワーチェーン」プロチェーン2

 

「パワーチェーン」プロチェーン(引っ張り強さ)

「パワーチェーン」プロチェーン(張力)

*すべて「(株)デンツプライ三金」の資料より

 

「パワーチェーン」をかけている写真2

 

よ~く見ると赤矢印の先にパワーチェーンがあることがわかります。

 

今のパワーチェーンは目立ちにくいです。

 

 

バネ

矯正治療で使用するバネも形状記憶合金です。(そうでないものもありますが、本院ではこのタイプを使用しています。)

 

バネはオープンコイルとクローズドコイルの2種類です。

 

オープンコイルはバネを圧縮して使います。

以下関連動画です。h05.gif

 

 

クローズドコイルはバネを拡張して使用します。

以下関連動画です。h05.gif

 

 

バネを用いる利点は、決まった力で継続的に歯及び歯列を牽引できることです。

(形状記憶タイプのバネの場合。)

 

力のラインナップは25g、50g、100g、150g、200gです。

 

 

 

▶まとめ

歯を移動させるために必要な力は小さいです。

 

とはいえ、同じような症例・同じような歯の移動であったとしても必要な力は異なります。

 

なぜなら、個体差があるからです。

 

私たち矯正医は、歯を移動させるための基本的な知識を持ち合わせています。

 

しかし、それだけでは十分ではなく、材料の特性、さらには個体差も考慮に入れる必要性があるのです。nurse.gif

 

つまり、それらを総合的にまとめ上げる力、経験値。

 

これがなくてはならない能力だといえるのです。

 

決まった症例には決まった治療法を適応すれば、完治する。

 

これが医療の最終目標ですが、その理想が実現するのにはもうしばらく時間がかかりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

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